先日、久しぶりに、「五線譜を書く」という作業をやりました。
五線譜ってあれです、音楽の教科書に載っている、いわゆる「音符が書いてあるやつ」です。
楽譜っていくつか種類があるのですが、その中でも一番ポピュラーなものですね。
私は超超超アナログ人間なので、五線譜を書くのも手書きです。
今はもっと便利な方法(パソコンを使ったり、パソコンとMIDIキーボードをつないだり)があるみたいなんですが、どうしても手書きの手軽さから抜けられなくて…。
紙と鉛筆だけあればいいって最強。
ということで、久しぶりに五線譜を書いていて思ったんです。
音楽にも、国語や英語のように「読む」「書く」「話す(音を出す)」という行為があるということを。
音楽を「読む」、「書く」、そして「演奏する」能力
「読む」は「楽譜を読み取る能力」。
「書く」は「楽譜を書く能力」。
「話す(音を出す)」は「歌を歌う・楽器を演奏する能力」。
今の時代、必ずしも楽譜の読み書きができなくても、「音を耳コピして演奏する」という人も多いですよね。
楽譜が読めなくても、好きで何回も聴いて覚えた曲はカラオケで歌えるわけですし。
それでも、楽譜を作る作業というのは、「音楽を作る側の人間」には必ず求められます。
作った曲を他人と共有するためには、音源(デモテープ)と楽譜があるのが一番的確だからです。
そんなわけで、ひとことで「音楽」と言っても、『演奏する』だけじゃ成り立たないなぁ、と今回改めて思ったのです。
「演奏をする」ことに先立って、曲を作る人がいて、その楽譜を作る作業があって、というのが、どうしたって必要になる。
世に出ているアーティストや音楽家は、どうしても「演奏する能力」に注目されますが、
「その曲を作る人たち・演奏するための楽譜の存在」って、演奏に至るまでに絶対に必要で大事な存在だな、と。
あんまり表には出ないんですけど…! でも実はとっても大事なんです!
「楽譜を読む」「楽譜を書く」のも、実は立派な「音楽をする」という能力の一つだな、と思ったのです。
「楽譜を書く」という特殊能力
ピアノやその他のいろんな楽器を習うと、「楽譜を読む」ことは必然的に求められます。
しかし、「楽譜(五線譜)を書く」ことは、それ専用の練習をしないと、自ら書く機会なんてほぼほぼありません。
私がピアノを習っていたときは、
・「ソルフェージュ」:楽譜を読みながらドレミで歌う
・「聴音」:聴いた音を五線譜に書く
・「楽典」:音楽の基本的な理論を学ぶ
というレッスンから始まって、そのあとピアノを弾くレッスンが始まる、というのが1回のレッスンの流れでした。
今思えば、大変きっちりと基礎を勉強させてもらったなぁ…という印象です。
今、五線譜の読み書きができるのは、その時代のレッスンのおかげでしかありません。
学校のクラスに1人~2人、ピアノやその他の楽器を弾ける子がいるとしても、その子が必ず楽譜を書けるかはわかりません。
その子が受けているレッスンの内容によります。
たぶん、先生や教室によっては、「楽譜を読んでピアノを弾く」しかやらないところもある。
(今ぼんやり思い出しましたけど、たぶん小学校の音楽のテストで五線譜を書くやつとかあったよね。
でもそんなの普段の生活で使わないし、みんなもすぐ忘れちゃうよなぁ…。)
それとですね、「五線譜を書く」というのも、大きく2つの内容に分けられます。
・「作曲」:頭の中にある音符を五線譜に書き出す作業
・「採譜」:聴いた音を五線譜に書く作業
の2つです。
ひとつめは、曲を作るときに行う作業ですね。
文章で例えると、「小説を書く」ことと似てるでしょうか。
ふたつめは、既にある曲なんだけど、市販の(もしくは製作者の作った)楽譜が手元に用意できないときにやる作業です。
文章で例えると「字幕を作る」だとか、「文字起こし」と似た作業です。
「作曲」も「採譜」も、特殊能力使いまくりの作業なんですよ…!!!
「作曲」は、「メロディ・和音・リズムをいちから組み立てる」+「楽譜を書く」作業だし、
「採譜」は、「耳で音を聴いて、音の高さや長さを判別する」+「楽譜を書く」っていう、
それぞれ複数の能力がないとできないんです。
(「採譜」の気分をちょっと味わいたい人は、テレビやYouTubeで流れてくる会話を、全部日本語で書き出してみるといいです。
聞いた言葉を書き出すっていうの、実はめちゃくちゃ時間がかかるんですよね…!
「えっえっ、ちょっと待って、まだそこまで書けてない!!!一時停止させて!!!」ってなります。笑
文字起こし(テープ起こし)っていう職業があるくらいですからね、これもすんごい重宝されるお仕事なんですよね。)
さて、今回私がやったのは、「採譜」の作業。
音源を聴いて、それを楽譜にする作業でした。
自分の曲を楽譜にする「作曲」の作業はよくやるんですが、採譜は本当に久しぶりで…作曲とはまた別の脳みそ使った気がする…30分ごとに休憩入れないと頭が煮えそうだった…。
でも、とっても楽しかったです。
自分の持っている能力、「絶対音感」と「楽譜が書ける」っていう力をここぞとばかりに発揮できて、とっても充実した時間でした。
演奏はしなくても、「音を聴いて理解する」「楽譜を書く」能力を使う。
これも立派な「音楽をする」活動の一環だなぁ、と思いました。
演奏をしなくても「音楽をする」
今回、久しぶりに採譜で五線譜を書き、
「演奏する以外にも音楽に関わる方法はたくさんあるんだ」って気付けたことで、
なんだか私の中の「音楽」のキャパシティが一気に広がった気がします。
日々、好きな曲を聴いたり、鼻歌を歌ったり、ということは当たり前でしたが、
それだって立派に「音楽をしている」し。
曲を作ること、デモテープを作ること、楽譜を作ることも、もちろん「音楽をしている」。
ライブのために演奏の練習をすることはもちろんのことだけど、
練習に取り組む前段階として楽譜を読むことも、「音楽をしている」。
「音楽をする能力」って、どうしても「演奏する」ことに集約しがちだけれども、
「楽譜を読める」「楽譜を書ける」のも、立派に「音楽をする能力」のひとつでした。
コロナ禍で演奏をする機会・聴く機会が減る中で、気が滅入ることも多々ありましたが、
「私、もっといっぱい音楽できるじゃん…!」と思えました。
毎日の生活でせわしない中ではあったけれど、今回の採譜作業はとっても良い経験になりました。
がんばってよかったな~。
これからの人生でも、もっともっと楽しくいっぱい音楽をしていきたいです。
それでは、また次回。